時給「1000円ぽっち」払えない企業は潰れていい Vol.4 ■「政府の介入を拒否する」なら、実績を示せ

                                                                                        ※7/5(金) 配信 東洋経済ONLINEより抜粋

                                                                              デービッド・アトキンソン :小西美術工藝社社長


【主張3】「政府介入は最小限に」は噴飯ものの暴論  


3番目の反対意見「そもそも、賃金は企業の経営者が判断するべきで、最低賃金といえども政府の介入は最小限にするべき」は、はっきり言って噴飯ものの暴論です。  


日本商工会議所が政府は介入すべきではないと主張するならば、自分たちの判断能力が高く、これまでも国益に大きく貢献してきたことを証明する、実績を示すべきです。

国の介入なしに自らの判断でやってきた結果、政府が口出しをするよりすばらしい結果を出せることを証明する必要があります。  


実際はどうだったのでしょうか。  


かつて世界を制覇していた日本企業の中で、いまだに活力が残っているのは自動車産業くらいです。それ以外は数々の経営のミスによって、見るも無残な状態に追いやられてしまいました。

2018年の「フォーチュン・グローバル500」のうち、世界第3位の経済規模を誇る日本の企業はたった52社でした。

トップ50は3社、トップ10は1社のみです。しかもイメージと違って金融機関と商社が極めて多く、52社中15社を占めています。


 この30年近く、日本経済はまったくと言っていいほど成長していません。  

ほかの先進国では、過去20年間で給料を1.8倍以上に増やしました。

一方、日本の経営者は反対に9%減らしてきました。  

世界9位だった生産性は、世界28位まで下がりました。

 子どもの貧困、格差社会、非正規の増加などなど、経営者のミスによりさまざまな社会問題が顕在化してしまっているのが、日本の現状です。  


 日本商工会議所は、政府は賃金に介入しないで、生産性向上を応援するべきと言います。 

生産性が上がれば、賃金をきちんと払うという理屈でしょう。  


 しかし、今までの20年間、生産性はわずかながら上がっているにもかかわらず、賃金は下がっているという厳然たる事実がありますので、日本商工会議所の理屈には信憑性がありません。 

政府としては経営者団体を信用するわけにはいかないのです。    

国を守るために給料を増やすべきだった経営者は、その任を果たすことなく今日まで来てしまいました。  


彼らには、「国は介入せず、自分たちの判断に任せてほしい」などと要望する資格はまったくと言っていいほどありません。ですので、国が主導するしかないのです。    


そもそも資本主義の歴史を振り返れば、労働者が社会通念上許されないほど過酷な労働条件で働かされているなら、国が主導して改善するのが当たり前です。  


だからこそ児童の労働は禁じられ、1日の労働時間は8時間と定められているのです。    

最低賃金が1000円未満では、年間2000時間働いても年収200万円に届きません。

これは日本という先進国で、日本人という優秀な労働者に対して、社会通念上許される給料水準でしょうか。 私には、到底そうは思えません。


 日本国憲法第25条、「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」に反しているとすら思います。

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