時給「1000円ぽっち」払えない企業は潰れていい Vol.5 ■国民と国益を犠牲にしてでも、企業数を守るべきか

                                                                                           ※ 7/5(金) 配信 東洋経済ONLINEより抜粋

                                                                                    デービッド・アトキンソン :小西美術工藝社社長


そもそも日本では、法人の数と雇用の数を混同して勘違いしていることが問題です。 

  

私が社長を務めている小西美術工藝社も属している文化財修理の業界を例にとって考えると、

なぜ日本商工会議所が最低賃金の引き上げに反対しているのか、その理由がわかります。  


この業界では、現状、約30億円の売り上げを20社で取り合っています。

20社あるので、当然、本社は20カ所あり、社長も20人います。


この業界に再編が起こり、例えば20社が5社に経営統合されたとします。


経営統合により会社の数は減りますが、国宝や重要文化財の修理予算は減りません。


修理をする会社が減ったからといって、需要自体は変わらないからです。そのため、必要とされる職人の数もほとんど変わりません。  

一方、統合が進めば、企業の規模が拡大し利益が集中するので、より高度な設備投資などができますし職人の労働環境は安定します。研修もより充実させることが可能になります。


過当競争が緩和され、より健全な競争が担保されるようにもなり、一人ひとりの専門性が上がって技術が上がります。いいことずくめです。  


しかし、このようにいいことばかりの一方で、ある特定の人たちだけは犠牲にならなくてはいけません。社長たちです。会社の数が減るので社長のポストも当然、減らさなくてはいけません。


だからなかなか再編が進まないのです。  


結局、日本商工会議所が最低賃金の引き上げに反対しているのは、社長の数が減るのを恐れているからのように感じます。


つまり、極論を言えば、日本商工会議所の反論は、

国民と国益を犠牲にしてでも「社長の数だけは死守しろ」と主張しているだけなのです。 





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